昨今の地方神社では、管理の担い手不足や高齢化、神主不在の無人神社が増え、急速に荒廃が進む情勢にあります。糠部神社もまたこの例外にもれず、将来には当神社の存続危機・無人神社化する恐れがあります。
この懸念を真摯に受け止め、先代の遺志である「南部氏の志を後世へ残す」という使命を継ぎ、当神社ではこれまで三戸城跡の魅力発信と併せて再興に努めてまいりました。
この一連の事業のもと、令和元年より当神社に長くご支援いただいている「まるもりんく株式会社」様の取り組みについて、一部ご紹介いたします。
糠部神社にかつてのにぎわいを・・・地方神社再興への取り組み
宮城県丸森町の地域おこし協力隊OGが起業した、地方特化型デジタル制作会社(代表:浅野瑞穂氏)。
きっかけは令和元年に当神社参拝へ来られた時のこと。その時の会話の中で、当神社宮司の「糠部神社にかつてのにぎわいを取り戻したい」という想いに共感していただき発起。一過性では終わらず末長く愛される「まちおこし」の表現方法を根幹とする「御朱印プロジェクト」を立ち上げる。
現在では当神社のみならず、地元丸森町の御社においても再興支援の輪を広げている。
- 御朱印デザイン …樋上谷 彗
公式X:https://twitter.com/sui_higamiya - 総合ディレクター …まるもりんく株式会社
公式サイト:https://marumolink.com/
第1弾:御朱印リニューアルプロジェクト(令和二年)
従来の御朱印をリニューアルするプロジェクト。御朱印に押印するオリジナル判子を6種類奉製。祭日ごとに頒布する御朱印にバリエーションを与え、何度も参拝したくなる魅力作りに貢献。
この種のデザインはトライバルデザインと呼ばれ、民族的な・部族的な印象が特徴の画風。
南国を彷彿させるデザインでありながら、当神社をはじめとする青森・三戸の風土のイメージを損なうことなく、巧みに判子へ落とし込まれています。
糠部神社 基本の印
■授与日:通年(祭日のぞく)
■テーマ:「松生桜」「南部向鶴」
当神社境内の松生桜のイメージを背景に、南部氏の家紋「向鶴」をモチーフに、二羽の鶴を羽ばたかせたデザイン。
月次祭
■授与日:毎月1・15日(月次祭)
■テーマ:「亀甲菊花紋」「福寿草(町花)」「南部家由縁の有名刀」
南部氏が尾張徳川家に名刀:亀甲貞宗(手前)を献上したという伝承をもとに着想。返礼として贈られた3振が、道誉一文字・綾小路行光・助実(奥)。
祈年祭
■授与日:5月1日(祈年祭)
■テーマ:「芽吹き」「太陽の恵み」「地熱」「三戸町を代表する農作物の花」
作物の芽吹きや開花の様子を表現。印に描かれる花は、リンゴ・トマト・ニンニクで、いずれも三戸町で多く採れる農作物である。
例大祭
■授与日:8月21日(例大祭)
■テーマ:「向鶴」「注連縄」「武田菱と花菱」「陣幕」「南部馬」「吉祥結び」
南部氏のシンボル「向鶴」と、初代南部氏当主南部光行公から脈々と受け継がれる南部氏の流れを表現。印にある9つの菱は分家していった南部氏の系譜を示す。
新嘗祭
■授与日:10月23日(新嘗祭)
■テーマ:「収穫籠」「雨の恵み」「三戸町を代表する農作物」
祈年祭の対として、三戸町の農作物を収穫する様子を表現している。農作物はリンゴ・葡萄・ジョミ・小麦・ニンニク。
年末年始
■授与日:12月31日~翌年1月31日
■テーマ:「南部菱刺し」「福寿草(町花)」
新年を祝う「寿」の意味を表現。福寿草は、初春の祝いに飾る花という意味から。そこに、南部地方伝統の南部菱刺しイメージを組み合わせ、正月の華やかさを表している。
第2弾:春詣限定武将印 奉製プロジェクト(令和六年)
令和四年、三戸城跡が国史跡に指定されたことを皮切りに、当神社では青森県初の南部氏の武将印の取り扱いを開始しました。
武将印の頒布を始めて2年後。再び「まるもりんく株式会社」様のお力を借り、南部の趣きを「切り絵」で表現し「芸術作品」としての価値を通じて、糠部神社及び三戸城跡のさらなる魅力発信を図ります。
南部光行公切り絵限定武将印
■授与日:令和6年4月20日~(無くなり次第終了)
■テーマ:「南部氏初代当主南部光行公」「南部馬」「南部向鶴」「桜」「神社」「三戸城跡」
糠部神社の祭神である初代南部氏当主・南部光行公が、かつて源頼朝に「強い軍馬を育てよ」と命じられ、東北に来たという伝承から着想を得て描画。
もともと軍馬に向いていると云われていた地元の在来馬は、光行公の庇護やその指揮下の人々の努力の末、やがて日本最高の軍馬と名高い「南部馬」へとなった。
南部馬に跨がる、光行公のかつての勇姿をイメージした絵をメインに、神社の紋である向かい鶴や、境内の桜を配して華やかな武将印に仕立てられている。